この実験ではH型断面におけるフランジとウェブの役割を理解する。フランジは曲げモーメントを主に分担し,ウェブはせん断力を主に分担する事を知る。
試験体の断面はH−50×30とし,フランジ部分は厚さ1mmスチレンボード、ウェブとスチフナはケント紙を使用し5種類の試験体を作成する。試験体に袋を吊るしておもりを入れていき,試験体が破壊した時のおもりの重さと破壊状況を記録する。図1には梁試験体の種類を示す。
図2.1 梁試験体の種類(1)
図2.2梁試験体の種類(2)
実験結果を表1に示す。はかりの目盛りはkgで表されているので9.8倍してNに変換した。表1の最大荷重欄には終局時荷重のほかに,破壊に至った点の曲げモーメントMとせん断力Qを求めている。
表2.1 最大耐力
試験体STANDについて
せん断力0で曲げモーメント最大の梁中央部で破壊した。試験体の中で最も大きい荷重に耐えた。
試験体F-SLITについて
ウェブのみで抵抗するF−SLITをSTANDと比較すると曲げ耐力は18%程しかなくウェブが曲げ耐力に果たす役割は小さい事が分かる。
試験体W-SLIT1について
STANDと同じせん断力0であり梁中央部で破壊した。フランジのみで抵抗するW-SLIT1でもSTANDの71%と比較的大きい曲げ耐力があり,フランジが曲げ耐力に対する役割は大きい。
試験体W-SLIT2について
W-SLIT1は,梁中央部で破壊しているのに対しW-SLIT2は,両端部のスリットの位置でせん断破壊している。これより,ウェブが抵抗できない場合はせん断力により破壊する事が分かる。すなわち,ウェブは主にせん断力に抵抗していると言える。
試験体W-HOLEについて
W-HOLEには,孔があるにもかかわらずSTANDに近い荷重で中央部および孔部がほぼ同時に破壊した。この事によりウェブに孔が開いていても耐えうる荷重は,それほど変わらないと分かった。
この実験ではH型断面におけるフランジとウェブの役割を理解する。フランジは曲げモーメントを主に分担し,ウェブはせん断力を主に分担する事を知る。
スチレンボードを切り出して、剛接合部(FIX)とピン接合部(PIN)の2つの試験体を作成し、梁荷重点に袋を下げておもりを入れていき、試験体が破壊したときの荷重の重さを計測する。図2には試験体全体図を示す。FIXは接合部をすべて糊付けし,PINは接合部をはめ込んだものとする。
図2.3 試験体全体図
実験結果を表2に示す。はかりの目盛りはkgで表されているので9.8倍してNに変換した。
表2.2 接合部試験体の実験結果
試験体 |
最大耐力 |
終局状態 |
フランジ接合 (FIX) |
Pmax=44.7N(4.56kgf) Mmax=8.01Nm |
下フランジ破壊 |
フランジ不接合 (PIN) |
Pmax=6.86N(0.7kgf) Mmax=1.23N |
ガセットプレート破壊 |
フランジを接合していないPIN試験体は接合しているFIX試験体と比較すると15%程度の耐力であった。これは、梁実験における標準試験体STANDと試験体F-SLITとの関係とよく似ている。フランジを接合した接合部は標準試験体に対応し、剛接合の曲げ耐力を有し、フランジを接合しない接合部はフランジスリット試験体に対応し、ピン接合と考えることができ、十分な曲げ耐力は期待できないことが理解できる。